直接捺染印刷と昇華転写印刷のコスト比較
(直接印刷用分散染料インク、転写印刷用昇華インク、を使った
ダイレクト昇華プリント と 昇華転写プリントの比較検討資料)
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この論文はコストの比較をしています。総合的な比較に関しては
直接 VS 転写印刷:のぼり旗たれ幕印刷を、ご参照ください。
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直接捺染印刷と昇華転写印刷のコストを比較しました。
結論として、「コスト的には昇華転写印刷の方が有利」という計算になります。
1、機械償却コスト
(1)プリンタ (メーカー仕様による)
機種名 | ミマキ DS-1600 | ローランド SJ-645EX
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最大用紙幅 | 1650mm | 1625mm
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色 | 6色(C/M/Y/K/LC/LM) | 6色(C/M/Y/K/LC/LM)
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速度 | 28平方m/h(最速ラフモード) | 32平方m/h(ビルボード4色モード)
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プリンタ価格 | \5,250,000 | \3,655,050
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パソコン | 標準装備 | パソコン別売り(約\150,000)
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RIP | 標準装備 | サンリュウ製PosterPrint Ver.12 \619,500
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巻き取り装置 | 標準装備 | \189,000
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合計 | \5,250,000 | \4,613,550
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※償却期間は2年とする
※1ヵ月のうち20日出勤で、1日8時間の作業時間とする
1、ミマキ DS-1600(\5250,000)
本体料金(\5,250,000) ÷ 2年間(480日)= 1日の償却コストは \10,938
1時間の処理能力(28平方m)× 作業時間(8時間)= 1日の処理能力 224平方m
1日の償却コスト(\10,937) ÷ 1日の処理能力(224平方m) = 1平方m当た
りりにかかる償却コストは、\49/平方m
2、ローランド SJ-645EX(\4,613,550)
本体料金(\4,613,550)÷ 2年間(480日)= 1日の償却コストは \9,612
1時間の処理能力(32平方m)× 作業時間(8時間)= 1日の処理能力 256平方m
1日の償却コスト(\9,612) ÷ 1日の処理能力(256平方m) = 1平方m当たり
にかかる償却コストは、\38/平方m
(2)熱処理機
| 輪転型熱処理機Monti Antonio製 | 近接ヒーター型熱処理機
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最大転写幅 | 1800mm | 1600mm
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熱ドラム径 | 350mm |
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処理能力 | 1.5〜2.5m/分 | 0.8〜1m/分
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温度上昇時間(200℃) | 1時間(自動起動タイマー有) | 20分
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熱ドラムの温度誤差 | ±1℃ |
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価格 | \6,825,000 | \2,100,000
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※償却期間は2年とする
※1ヵ月のうち20日出勤で、1日8時間の作業時間とする
※熱処理機は、標準的な処理能力のモデルを使用する
1、輪転型熱処理機(\6,825,000)
本体料金(\6,825,000) ÷ 2年間(480日)= 1日の償却コストは \14,219
1時間の処理能力(240平方m)× 作業時間(8時間)= 1日の処理能力は1920
平方m
1日の償却コスト(\14,219) ÷ 1日の処理能力(1920平方m) = 1平方m
当たりにかかる償却コストは、\7/平方m
2、近接ヒータ型熱処理機(\2,100,000)
本体料金(\2,100,000)÷ 2年間(480日)= 1日の償却コストは\4375
1時間の処理能力(96平方m) × 作業時間(8時間) = 1日の処理能力は768
平方m
1日の償却コスト(\4,375) ÷ 1日の処理能力(768平方m)=1平方m当たり
にかかる償却コストは、\6/平方m
2、直接印刷の資材コスト
1平方m当たりの印刷コスト
印刷のランニングコスト(インクと転写紙)を、以下のように計算してみました。
(1)インクコスト
画像によってインク使用量は変わるので、これは参考値です。ミマキ製 昇華イ
ンク 220gカートリッジ \7,980を用いて計算します。
●EPSON WEBの資料から(PX-6000プリンタ)
EPSON純正110mlインクカートリッジ使用時/インクカートリッジ単価4,410円
A3サイズのインクコスト 34〜42円になります。
ミマキ製 昇華インク 220gカートリッジ \7,980で、この比率で計算するとA3
サイズ印刷のインクのランニングコストは
(\34〜\42)x\7,980/(\4,410x2)=\30.8〜\38
A3サイズのインクコストを1平方mに換算すると、\235〜\290
(2)直接印刷用ポンジ
布に直接印刷をする場合は、インク受理層の前処理が必要です。この前処理済み
のポンジは、\214/平方mで取引されています。
以上を合計して、449〜504円/平方mが、消耗品コストという事になります。
※これは、あくまでも参考値です。実際のコストは、画像や印刷条件によって異な
ります。
3、昇華転写の資材コスト
1平方m当たりの印刷コスト
印刷のランニングコスト(インクと転写紙)を、以下のように計算してみました。
(1)インクコスト
画像によってインク使用量は変わるので、これは参考値です。HANAE-IV 昇華インク
5Kgボトル \ 52,000/本を用いて計算します。
●EPSON WEBの資料から(PX-6000プリンタ)
EPSON純正110mlインクカートリッジ使用時/インクカートリッジ単価4,410円
A3サイズのインクコスト 34〜42円になります。
当社のHANAE-IVインクは、5kg \52,000。200gだと、\2,080で、この比率で計算す
ると、A3サイズ印刷のインクのランニングコストは
(\34〜\42)x\2,080/(\4,410x2)=\8.0〜\9.9
A3サイズのインクコストを1平方mに換算すると、\61〜\76
(2)昇華転写用ポンジ
サンリュウ製 転写用ポンジ
\20,200/(1.25m×185m)= \87
(3)転写紙コスト
転写紙は、幅や厚さによって価格が異なります。 参考に160cm幅ロール転写紙の
平方mあたりの平均的単価を列記しました。
転写紙 薄手 ¥19,719/(1.62m×150m)= ¥81/平方m
転写紙 厚手 ¥19,236/(1.62m× 80m)=¥148/平方m
転写紙 速乾 ¥23,436/(1.62m×120m)=¥121/平方m
(4)下紙コスト
下紙は、ポンジなど薄い布への転写の際に、色素が布を貫通して反対側のフェルト
を汚さないようにするために使用します。1回使用して捨ててしまう紙です。
下紙 ¥7,980/(1.65m× 200m)=¥24/平方m
以上を合計して、転写紙(厚手)の場合は320〜335円/平方mが、 消耗品コストと
いう事になります。
※これは、あくまでも参考値です。実際のコストは、画像や印刷条件によって異な
ります。
4、コスト合計の比較
| 転写印刷 | 直接印刷
|
プリンタコスト/平方m | \38 | \49
|
熱処理機コスト/平方m | \7 | \5
|
資材コスト/平方m | \320〜335 | \449〜504
|
合計/平方m | \365〜380 | \503〜558
|
※直接印刷は水洗していない場合です。
※電気料金は含まれていません。
※直接印刷の方がインクを多量に使用しますが、今回の比較ではインクを同量と
して計算しました。
1平方mに加わるコスト: 転写印刷の方が \130〜180安い
以上